五段活用 読ま(ア段で終わる) ない れる
五段活用 取ら(ア段でおわる) ない れる
上一段活用 見(イ段でおわる) ない られる
下一段活用 受け(エ段でおわる) ない られる
か行変格活用 来(こ・オ段でおわる) ない られる
さ行変格活用 しorせorさ ない れる

 日本語では、「~ができる」という意味の可能表現は「れる」または「られる」という助動詞によって表される。「れる」と「られる」とは、接続する動詞の活用の種類によって使い分けられる。「れる」「られる」は動詞の未然形につく。未然形とは、「~(し)ない」という形から「ない」をとった残りの部分と考えればよい。「取る」の場合は「取ら」、「見る」の場合は「見」が未然形である。「取ら」のように、「ない」の前がア段になる動詞を五段活用動詞、「見」のようにイ段になる動詞を上一段活用動詞という。「受ける」は、未然形が「受け」とエ段で終わるので下一段活用動詞という。「来る」は「こ」となり、未然形がオ段で終わる動詞はほかにないのでカ行変格活用動詞という。「~する」の「する」の未然形は「し」となるが、上一段活用動詞が未然形に「る」をつければ終止形になるのに対し、終止形が「しる」ではなく「する」なので、やはりサ行変格活用動詞として、へそまがり扱いされる。

「れる」「られる」の起源 「れる」「られる」は古語の「る」「らる」に当たる。古語にも現代語と同じく、「可能」「受身」「尊敬」「自発」の四つの意味があった。「自発」とは、「この町に来るとあの人のことが思い出される」のように、「自然に~する」「つい~してしまう」というような意味である。この「自発」こそが「る」「らる」の本来の意味と考えられている。「る」「らる」はさらに古くは「ゆ」「らゆ」であり、「いわゆる」「あらゆる」などに痕跡を残している。「見える」「聞こえる」ももとをさかのぼれば同様である。

 可能を示す助動詞は、「れる」が五段活用動詞とサ行変格活用動詞(この場合は「される」となるので、「ない」に先立つ「し」とならんで「さ」も未然形とされる)の未然形に、「られる」が上一段活用動詞と下一段活用動詞とカ行変格活用動詞の未然形につくのが文法的に正しい。だから、「取る」なら「取られる」、「見る」なら「見られる」が正しい表現ということになる。ところが、「あの山では松茸が取られる」という言い方をする人はまずいない。ふつうは「取れる」というであろう。「取れる」は、文法上動詞に助動詞が続いたものとはされず、「可能動詞」として一つの動詞とされる。五段活用動詞を下一段化すると可能動詞となる。たとえば、「読める」の場合は「読らめる」の「ら」が抜けたわけではないので、一つの動詞とするほかしょうがないのである。「取れる」の場合は、一見「取られる」の「ら」が抜けたように見えるが、「読める」が「読む」が下一段化して成立したのと同様に「取る」が下一段化したものだから、「ら抜き言葉」ではない。「取れる」がよくて、「見れる」がいけないという判断は、このような理屈によって成立している。「見れる」という言い方は、上一段活用動詞の未然形「見」に「られる」をつけるべきところを「れる」をつけたので、「ら抜き言葉」として間違いだとされるのである。


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